軽くて排熱しやすくて分解可能なラックケースを作った。

フットサル仲間でマニピュレーターの仕事をしている岡田さんからラックケースの依頼を受けました。僕ドラマーなんですが。

自作2Uラックケース(PELICAN 1535 AIR収納サイズ)完成品

完成した2Uラックケースの外観

四面に穴を開けたケースの依頼。2Uのラックケースです。
DIYラックケース_軽量_排熱_完成品

 

岡田さんの機材を実際にセッティングしたところ。

 

めちゃくちゃ綺麗に収納してる。性格出る〜

依頼内容は大きく分けて三点

依頼1:PELICAN 1535 AIRに収納したい

岡田さんからの依頼内容は大きく分けて三点でした。

一つ目は「ペリカンの機内持ち込み可能なケース(PELICAN 1535 AIR)に入るサイズ」というもの。
PELICAN1535AIRに収まる自作ラックケース

自分の手元にないケースに収まるように作るというのはなかなか緊張しましたが、ちゃんと作れてよかった。

依頼2:分解可能

二つ目は「分解可能」であるということ。

上蓋を取り外せるようになってます。
分解できるDIYラックケース
こういうのはガタついたり色々問題起きがちなので避けていましたが作ってみたら案外いけました。
湿気で反ったりしないか不安もあるけどまぁ使っていく中で様子を見ましょう。

依頼3:軽量・通気のために板をくり抜く

四面全ての板をくり抜いて軽量化&排熱しやすくなっています
DIYラックケース_軽量_排熱_分解

 

岡田さんは横の穴からケーブル出して使ってた。地味に盲点でした。便利やんけ。

薄い板(9mm)をくり抜き軽量化してる上に分解可能な仕様ということで、強度の不安がかなり大きかったけど意外としっかりしてました。よかった。

岡田さんからの依頼書が超わかりやすかった

岡田さんからの依頼書の一部がこんな感じでした。
DIYラックケース依頼書
立体。超絶イメージしやすい。説明文もわかりやすい。これは絶対仕事できる人の所業。こんな図面作れるならもう自分で作れるのでは?
ちなみに岡田さんはフットサルもうまいし性格も穏やかで超いいやつ。唯一の短所は痛風なところ。

それに引き換えモリモトの設計図はこちら
DIYラックケース設計図

2Dです。文字通り次元が違う。ようこれでスタジオ作ったな。唯一の長所は痛風じゃないところ。

 

サイズはこんな感じ

もう説明にも岡田さんの依頼書の方使ってもうてるやん。
このサイズはPELICAN AIRに収まるギリギリのサイズです。

軽量化と排熱のために穴を開けるということを聞いて、うおー!!ライブ現場でラックケースを扱うマニピュレーターならではの発想!!!と思ったら「市販品であるんですよ」とのこと。シンプルに俺が無知。

あと、「痛風」の人が「通風」について考えてるな、と思ったけどやかましいので黙ってました。

軽量化と剛性は相反します。絶対むずい。
まぁでも岡田さん優しいし、最悪「頑張って作ったけどダメでした」でも許してくれるやろ、と甘え散らかした発想で着手。

組み立て前の準備(設計・木取り)

木取り&PELICANケースに収めるためのサイズ

板は2種類×2枚ずつ、合計4枚。
このサイズ、横幅が503mm+97mm=600mmになるので

 

よくある板のサイズ600×450にちょうどよさそうです

一見ピッタリ足りるように見えますが 丸ノコ刃の切りしろで3〜4mm余白が必要なのでこれだと足りないという。

 

ということでこのサイズに。

デカすぎ。帯に短しとはまさにこのこと。2Uラックケースに短し。

 

ということで二つ分作れるようにカットしました。

ミスってもやり直せる&ミスらなければもう一つ作れる という安心&ラッキー設計。

 

で、余った部分で20mm×90mmの細い板も2枚(+予備2枚)も追加です。これは後述しますがラックレールを取り付けるときに使います。

 

あとは20mm×30mmの角材をこのサイズに

 

ホームセンターでカットしてもらいます。腕の良い店員さんに当たることを祈って。

トリマーで通気用の穴をくり抜く

ここからは自作したトリマーテーブルを使って通気穴を開けます。
自作トリマー

しれっと出てきたけどこの自作トリマーテーブルはYoutubeで「トリマーテーブル自作」とかで調べて作りました。めちゃくちゃ便利。

トリマーテーブルの市販品もある

 

くり抜きサイズはこう。

 

板をこの向きにして考えます

この場合、板の左端からくり抜き部の右端までの長さは183mm

 

で、トリマーテーブルのガイドから刃まで183mm測ります。

厳密には左のアルミ製ガイドから「トリマーの刃の右端まで」が183mmです。

 

こんな感じ

(画像は353mm測ったときのやつ)

板に線を引き

 

あてがってみて確認

右の線にトリマー●の右端が来ていればOK。

 

板のくり抜く部分にドリルで適当な穴を開け、そこにトリマーの刃を通します。画像全然撮ってないから図でわかりづらいけど伝わってほしい。もうこの図も岡田さん描いてくれんかな。

 

トリマーのスイッチを入れ、ガイドに押し当てながら板を滑らせます

トリマーめっちゃ怖い、指当たったら吹き飛びそう。

 

上も下も、端っこはほどほどにキワまで攻めます。
すごく適当でOKというわけではないけど、厳密には攻めなくて全然OK。

 

ちなみに、上下にもガイド作ればいいのでは?と思って色々やってみたけどなんか全然上手くいかずやめました。

 

板を回転させて、反対側も同じように進めます。

 

 

で、実際に空いた穴がこちら

板を横にして、同じようにトリマーを使ってくり抜きます。

 

そのときのガイドから刃までの距離が353mmです

 

するとこうなります。
初めてで超絶時間かかったけど思ったより綺麗にできた。やればできるやん。ヤスリでバリを取って整えて終了。

これを全部の板でやります。ご安全に。
下準備は完了。次は組み立て。

いざ組み立て

ケース下部の組み立て

土台になる部分から作ります。こっちの方

 

まず小さい方の板にこんな感じで角材を固定します。

 

「鏡映対称」であって「同一」ではないので注意。

このミスまじでよくやる。

 

ここの間隔が結構シビア

同じサイズの角材がピッタリ入るように。キツすぎもせず、ユルすぎもせず。 間に角材を挟んだ状態で固定しました。

 

で、この小さい板に大きい板(底板)を固定します。

 

実写ではこの部分。

ひとまず下の部分はこれでOK

上蓋の組み立て

ここから上蓋部分を作ります。こっち側

 

これがちょっと気を遣わないといけなくて

こんな感じで、サイドの角材と角材の間にぴったりハマる感じにしないといけません。
取り付けのときも取り外すときも、病めるときも健やかなるときも、堅すぎず緩すぎず。

 

何に沿うでもなく、両端から9mm離したところに固定するので結構シビア。

ここが一番の山場でした。画像が全然ないことからも必死だったことが窺えます。

ラックレール取り付け前に塗装する

ラックレールを取り付ける前に、ニスとコテバケで黒く塗ります。

乾いてから3Mの研磨スポンジで撫でる→薄く二度塗りするとザラザラが取れていい感じになります。

ラックレールの取り付け

ここで20×90の細い板を使います。ラックレールを挟み込むように。

噛み合わせ部分

上蓋との噛み合わせ部分はこんな感じになっています。

ここはニス二度塗りしてなかったと思う。厚くなってハマらなくなったら困るので。

 

これで完成。

ここまで作ってみないとわかりませんでしたが、強度は大丈夫そう。DIYあるある「作ってみたら心配してた部分は全然問題なかった」

完成後レビュー(PELICAN 1535 AIRへ収納)

岡田さんから届いた使用写真

無事に納品し、岡田さんが機材をセッティングした後の画像を送ってくれました。改めてこちら

2UラックケースをPELICANケースに実際に収納したところ

 

PELICAN1535AIRに収まる自作ラックケース

無事に収まってマジでよかった。「痛風岡田の通風ラックケース」って現場で呼ばれて愛されてほしい。

後日談

後日、痛風治りかけの岡田さんから感想をもらって
「背面にもレールを取り付けたやつもほしいかも」とのことでした。
また作ったらブログ書きます。

今まで自作したラックケースいろいろ

岡田さんが今回の依頼をしてくれたのも過去の記事を読んでくれていたからでした。

ラックケースDIYの過去記事

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これもなかなかおもろいもの作ったな、と自画自賛しています。もちろん普通に読まれてない。

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