完成した防音ドア
まず完成した防音ドアはこちら。
機能も満足していますが見た目も大好きで愛着がすごい。火事になったら持ち出したい家具(建具)ランキング1位。
この記事は前後に分けた記事の後半です。
前回の記事はこちら
先日コロナにかかりまして。自宅療養中に「北の国から」を観てたんですがDIYシーンでのリスペクトが止まりませんでした。そういうドラマじゃないと思うけど。ちなみにもう治って元気です。概要今回と次回、二つの記事に渡ってドア枠と[…]
- ドアを取り付ける枠を作り
- ドアの骨組みに片面だけ板材を貼り付けました
今回はその続き、完成編。
最後に音漏れチェックの動画もあります。
蝶番取り付け
前回からですが、ドアの周りは全体的に精度を高く作る必要があります。
その中でもこの蝶番の取り付けは特に精度を要求される作業。気を引き締めていきたい。ウェイウェイ言ってる場合ではない。
蝶番(丁番)の詳細
ドアを完成させてしまうと重すぎて持ち上げられなくなるので、骨組みに片面を貼った時点で蝶番を使ってドア枠に固定します。
蝶番。タキゲンの重量用蝶番「B-1001-14H」です。
この蝶番の耐荷重は57kg。(2枚使用時)
作っている扉の重さは60~65kgくらいになる予定なので、蝶番を倍の4枚にすりゃ余裕やろ、ということで4つ注文。
その直後「蝶番は数を増やしてもほとんど意味ありません」的な情報をネットで読みました。まじかよ。
人間が重いものを持ち上げる時は2人より4人の方が楽なのに、蝶番は2枚が4枚になっても無関係なんてことある???あたしゃ信じないよ。
あたしゃ信じないのでとりあえず4枚でやってみます。
合板の側面に蝶番を取り付ける
早速ドアに蝶番を取り付けようとしたところ問題が発生。
面材の合板が厚すぎて骨組みまで蝶番が届きません。
合板の側面にはビスを打っても効かないので、このままでは蝶番を固定できません。
すなわちドアを取り付けできないということで、
ドアがなかったら防音もクソもありません
モリモト、防音もクソもないってよ
合板の「側面」でなく、合板の「表面」にならばビスはちゃんと効くので
ここに合板の「表面」をもってきます。
まず蝶番を取り付けたい部分に蝶番の幅で線を引きます。
ドアより長い端材を2枚用意しました。
ドアの両側からクランプで挟みます。
高さもちゃんと揃えます。
丸ノコで線に沿って切り込みを入れます。深さは34ミリ
床を作る時に使った相欠継手の要領で切り込みを入れまくって
手でバキバキ割ります
ノミとヤスリで綺麗に。
この作業、何度もやってるのでめちゃくちゃ上達した。
蝶番を取り付ける部分全てを同じように処理しました。
挟んでいた端材は後で使います。
今度は28mm厚の合板を使います。
切り欠きのサイズに合わせて切り分け
ここに
ボンドをつけてハメ込みます。横から見るとミルクレープみたい。じゅるり。
補強材を内側に入れます。骨組みと同じ45ミリの角材。
ミルクレープと補強材をクランプで挟み込みます。
ビスで固定しました。
これで蝶番の取り付け部分に合板の面がきました。一時はどうなることかと思いましたがこれはまさに天才。ナイスアイデアすぎて100万円あげたいし貰いたい。
改めて蝶番の取り付け
蝶番の取り付けではビス穴のど真ん中にビスを打ち込む必要があります。
ど真ん中からズレた場所に打ってしまうと、そのビスの位置を中心とした位置に蝶番側が動いてしまう。
そうして生まれる小さな傾きや数ミリの誤差がドアの取り付けには命取りなので、専用のドリルで下穴を開けます
丁番下穴ドリル。まんまのネーミング。
センタードリルとか呼ばれたりもする。どっちにしろまんま。
蝶番をあてがい、これを使うと綺麗にど真ん中の穴が開きます。
これで蝶番がつきました。
ドアっぽくなってテンションあがる↑ウェイ
枠へのドア取り付け
蝶番の彫り込み 概要
今度はドア枠に彫り込みを入れます。
蝶番を取り付ける部分に彫り込みを入れて
その中に蝶番を固定します
この彫り込みが浅いとドアが左に寄ってしまい
深いと右に寄ってしまいます。
元々ドアと枠の隙間は数ミリしかないので、ここもかなりの精度が必要。
そして当然ですがドアには既に蝶番が付いているので、彫り込みの位置がズレてはいけません。「深さ」と「位置」どちらも精度を高く仕上げないと不具合が出て、最悪作り直しが発生します。
ここまできて作り直しは絶対あかん。想像するだけでかわいそう。自分が。
枠に蝶番の彫り込み 実行
ここで先ほどドアに蝶番を取り付ける時に出た端材を使います。
ドア枠内側のサイズに正確に切り出し、あてがいます。
クランプでがっちり固定。
こうすれば蝶番の位置がドアと完璧に合います。またもや天才。
そしてこの型を利用して、電動工具のトリマーを使います。
トリマーの刃はこんな風になっていて、この刃が当たったところを削り取ってくれます。
この刃の出具合を調整することで深さも正確に決めることができるという。
これで位置も完璧、深さも完璧。この勝負もろたで工藤
トリマーにはテンプレートガイドというものがついていて
取り付けるとこう。
これでテンプレートに沿って正確な形で掘り進めることができます。
この端材がトリマー用のテンプレートとして使えるわけです。
テンプレートに沿って彫れているのを確認。
残りの部分も削り取りました。
ガイドの分の幅だけ残りますが
これくらいならカッターで切れるので問題なし。
綺麗に切り取りました。
テンプレートを外しました。ビューリフォー
ドンピシャです。ビィユリフォ
深さもヨシ。
ここにも下穴ドリルを使って穴を開けておきます。ここでは下穴を開けるだけ。
蝶番はドアの方に取り付けておきます。
ドア枠にドア取り付け
いよいよドアを枠に取り付けます。
ドアが取り付けやすい高さになるよう、要らない板をちょうどいい高さまで重ねて置きます。
ドアを持ってきました。でかいし重い。
ひとりでやるのは結構大変。
蝶番を枠にビス打ち。
ビスを片方しか打っていないのは万が一ズレが発生した時に後から微調整ができるようにです。
こうしてドアがつきました。遂に!やったー!
隊長!!!閉まりません!!!3ミリほど!!!当たっております!!!!
まじかよ
ドアが左に寄っているので
蝶番の彫り込みが浅いということです。
一旦ドアを外しました。めっちゃくちゃ重い。
もう一度端材のテンプレートを取り付けます。とてもめんどくさい。
3ミリね。ハイハイサンミリサンミリ。
合板の層一枚分。
小さい頃バウムクーヘンを一枚ずつ剥がして食べたことあったなー。
また蝶番を取り付けてドア閉まるかチェック。
閉ま……!?
らん!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
電気を消すとわかりやすい。ほんのちょっとだけ当たってます。まじでちょっと。
原因はドア骨組材の歪みのようです。
これくらいならサンダーで削ります。もう外すのはめんどくさい。
どでかい節があります。これが歪みの原因っぽい。
おっおっ
スン
わーーー!!!閉まったーーーーーー!!!
このドアが
音もなくスンと閉まったから
6月6日はドア記念日
防音ドアの中身を詰めて蓋をする
無事に枠への取り付けと記念日の制定も終わったところで、ドアに中身を詰めて蓋をします。
ドアの中身
吸音材と石膏ボードで悩みましたが、今回は石膏ボードの端材を詰め込むことにしました。
理由は以下の3点
- 厚さ45ミリに吸音材詰めてもあんまり効果なさそう
- 世の中の防音ドアは全部超重い
- 石膏ボードが余ってる
根拠無しのゆるふわな理由ですが本当によくわからないことなので仕方ありません。
ただ石膏ボードが余ってることだけは揺るぎない事実。
吸音材を詰めた場合と比較できないのでわかりませんが特に後悔はしていません。
誤算は石膏ボードが思ったより減らなかったこと。ドアの精度に気を使い過ぎて、そこは全然計算してませんでした。誰か石膏ボードいりませんか。
この骨組み材の間に中身を詰めます
石膏ボードの端材を三枚重ねで詰め込みました。
ボンドを塗りたくって
24ミリ厚の針葉樹合板をクランプで固定。
これもめちゃくちゃ重くて大変でした
ビスで止めて蓋完了。
閉めるときにドア枠と干渉しないよう、この面材だけ幅を少し狭くしました。
ドアハンドル取り付け
防音ドア用のグレモンハンドルを取り付けます。タキゲンの「FA-841-W」
ドアを戸当たりに押し付けて密閉する機能があります。1万ちょいくらい。
楽天やAmazonにはなかったので、グレモンハンドルの類似商品リンク置いときます。
グレモンハンドルの説明書を参考にしたり、直接あてがったりして穴を開けるポイントを決めます。
高さは単純にドアの中心にしました。
直径20ミリの穴を開けるドリル。めちゃめちゃいかつい。
ドア面に対して垂直に穴を開けるガイドを自作しました。
垂直に切られた木材でドリルを挟めば垂直に刺さるやろ、というシンプルなガイドです。
多分DIY程度の精度で大丈夫なはず。
さっきの印に刺して
ガイドを押し付けてからドリルを回します。
開きました
20ミリの穴。開けるときの手応えすごかった。
ハンドルを取り付けたら完全にスタジオのドアになりました。
「そうだ…俺が作っていたのは紛れもなくスタジオなんだ…」みたいな気持ちになってちょっとウルウルしました。
今までよく頑張ったなぁ。全然終わってないけど。
戸当たり取り付け
ひとりでウルってても作業は進みません。続いて戸当たりの取り付け。
ドアとハンドルの間に30㎜×40㎜の木材を挟みます
めちゃくちゃピッタリ。
ハンドルのローラーが当たる部分に印をつけます。
ローラーが当たる部分を元に、ローラー受け台座の位置を決め
切り欠きます
ドンピシャ。いよっ!キレてるよ!
ドア枠に当てて
ドアに密着させてビスで固定。当て木をしてハンマーで叩くと密着させやすい。
閉めてみます。
この時の手応えは「ちょっとだけ軽いかな」という感じ
ドアが当たる部分に戸当たりゴムを貼り付けると
手応えは「いい感じに固い」くらいになりました。ナイスさじ加減。
同じ木材に同じ戸当たりゴムを貼りつけて
蝶番側にも取り付けます
押さえつけながらビスで固定
同じように上下にも取り付けました。
これで完成です。めちゃくちゃいい。
\ここまで仕上げるには眠れない夜もあっただろ!/嬉しすぎて危うくスマホの待ち受けにするところでした。我が子かよ。
蝶番の耐荷重も全く問題なさそうです。めちゃくちゃガッチリしててスムーズな動き。かなり安心感ある。
防音性能の確認
現時点での防音性能を実験しました。(この後内装材でも吸音するので防音性能は暫定です)
Bluetoothスピーカーでの実験とドラムを使った実験の2パターン。
Bluetoothスピーカーで最大音量の再生
JBL Charge2+を最大音量で鳴らし、音漏れをiPhoneアプリで計測します
防音室内での音量
90dBくらい。
90dBの目安は「カラオケ音(店内中央)」らしいです。
普通の家では絶対再生できないレベルの音量。
防音ドア正面での音漏れ
防音ドアを閉めてその正面で計測しました。
50dB弱くらい。目安は「静かな事務所の中」
中で鳴ってる音楽の曲も歌詞もわかるレベル。ここで歌録りはできないでしょう。
玄関での音漏れ
40dBを切るくらい。目安は「図書館内」
ていうかここはスタジオで音楽を鳴らさなくても元々これくらいでした。
「下で音楽が鳴ってるな」というのはわかる。
ドラムを実際に叩く
次はドラムを叩く実験です。
- リビング(家の中)
- 玄関前(外)
にiPadとiPhoneを置き、動画を撮った状態でスタジオでドラムを叩きます。
撮影した動画にどれくらい音が入るかをチェックするという方法。
結果これくらい入りました
実験の感想
ひとまず結構防音できててよかった。
玄関カメラにはそもそも入ってなくて嬉しい。まぁマイクの性能もあるけど。
室内に漏れている分は想定内でした。この家は基本的にスタジオとして使うのでOK。
隣家は玄関方面にしかないので合格点だと思います。まぁ自分で合格点もクソもないけど。音漏れで迷惑かかるのは隣人さんであって自分ではない。ウェイウェイしてないで気を引き締めましょう。
ということで、残すところスタジオ内は吸音材を貼るのみ。ウェーーーイ↑↑
過去記事
自作スタジオ防音ドアDIY(前編)
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ドラム用防音室DIY 最初から読む
ブログも作るってよ。モリモトです。 ひょんなことから一軒家の一室(+地下室)をDIYでスタジオに改造することになりました。目標はドラムの宅録ができるやつ。せっかくなのでその経過をブ[…]