完成品
まずダイジェストで製作〜完成品までの画像
以下で仕組みから作り方、結果まで書きます。
取り付け前、現状
自作スタジオの防音壁。現状こんな感じになっています。
今回はここに防音装置のついた換気扇を取り付けます。
完成品は音漏れせず。ちゃんと防音と換気を両立できたものが作れました。ﾜｰｲ
(追記:：2023年4月)
完成後2年使い続けていますが音漏れも不具合もなしです。
防音換気扇の概要
空気は通しても音は通さない
以前作った防音壁には換気用のダクトを２本通しています
このダクトはそれぞれ排気用と吸気用で、密閉されたスタジオ内の換気に必要不可欠なもの。
しかし、ただここに換気扇をつけるだけでは当然音も外に漏れてしまいます。
もちろん外からの音がスタジオ内に入ってくることにもなります。どっちもあかん。
空気は出し入れしながらも防音は保つ仕組みを作ります。
換気防音装置の仕組み
ネットで色々調べた結果、音の二つの性質
- 直進する（主に高音。低音は回り込む）
- 狭いところから広い空間に出ると減衰する（主に低音）
これらを利用した防音換気装置がDIYでもよく作られていました。
よくあるのが以下の2タイプです
迷路タイプ
これは上記①の「音の直進性」を利用した防音装置です。迷路の内壁には吸音材を貼り付けていることが多い。
進入した音は壁に当たるたびに減衰していき、出口にたどり着く頃には小さくなっているという仕組み。
ただ、上記② 狭いところから広い空間に出ると減衰する（主に低音）
の効果があまり見込めそうにありません。
低音の方が「家の壁を貫通しやすく、より遠くに届く」性質があるため、近所迷惑を防止するには低音の吸音を頑張りたいところ。
そして迷路の内側に吸音材貼るの地味に超絶めんどくさそう。みんな丁寧にちゃんとやっててすごい。
丁寧に吸音材を貼り付ける作業は自分はできそうにないので却下。ワンピースでもサンジが「お前にできることをやれ」って言ってた。できることを頑張ろう。
マフラータイプ
これは箱の中をいくつかに区切って、その仕切りにパイプを通すシステム。
区切りの中に吸音材を貼っているパターンもありましたが、迷路タイプより大きいし全然いける。
そもそも丁寧に壁に貼らなくても吸音材が入ってさえいれば多分大丈夫なはず。
パイプの長さと箱の大きさにもよるけど、たぶん低音にもこっちの方が効果ある。
ということでマフラータイプを採用
いざ作成
針葉樹合板を二つのサイズにカットしました
それぞれの寸法と枚数はこんな感じ(数字の単位はミリ)
吸気・排気ふたつとも作れる分の板材です。図の黒い丸はダクトや換気扇を取り付ける穴。
穴は自由錐という工具で開けました。
残る材料は
3センチの角材を449ミリの長さにカットしたもの。
これは16本必要です。
小さい方の板(橙と赤)の長辺にこんな風に固定します
固定は裏からビスで
橙板・赤板全てに角材を取り付けます
赤板を青板の端に固定します
実際の画像
(この画像では穴ありの橙板になってますがミスです。後で穴を塞ぎました)
もう片方の端にも赤板を固定
実際ではこう
箱の中に仕切りを作る要領で橙板を二枚固定。穴の位置に注意
側面に穴なしの緑板も貼っています
青板の向かい側に、もう1枚の青板を貼り箱型にします。ここでも穴の位置に注意。
橙板の穴の位置関係はこんな感じ
箱の内部、空気が漏れて欲しくないところにシーリングを打ちます
シーリング材を出しただけの状態
ビニール手袋をつけた指でびよーっと撫でると
密着します
途中で白のシーリング材が切れて黒に変わりましたが効果は同じ
アルミのフレキシブルダクト(直径100mm)をほどよいサイズに切って（万能ハサミで簡単に切れます）
橙板の穴に差し込みます
エアコンパテを
細長く伸ばして
ダクトの根っこに巻き付けます
指で押さえつけて密封(?)
箱の中に吸音材を詰め込みます
見た目いきなりカオス
壁のダクトに取り付けます
まずは下から
青板の穴に差し込む形で
穴の周りには密閉用のシーリング材を多めに出しておきました
壁にビスで固定
床にもビスで固定します
トイレなどに使われる静音仕様の換気扇を取り付けます
裏側をダクトに差し込みます
どーん
これをもう片方の青板の穴に差し込みます
内側からのエアコンパテも忘れずに
ビスで箱に固定して
上からカバーを取り付けました
そうしてこの状態。ここから同じものを上のダクトに取り付けます
はい、つけました
上の箱に換気扇は要りません。
フード付きガラリを使います
換気扇の時と同じく、裏側をダクトに差し込んで
そのダクトを差し込みます
ちゃんと裏側にパテを巻きました。
吸音材は最後に入れると作業性がめちゃいいという気付き。日々精進。プルスウルトラ。
引きで撮るとこう。
高さちゃんと計算して作れば真ん中の空間はできなかったなーとちょっとだけ反省。まぁどうでもいいけど。
最後に蓋をします
密閉用のシーリングを出して
緑板を貼り付け
同じように上の箱にも貼り付けます
はい、これで完成
ちなみに換気扇のコンセントのスイッチは、前回天井に取り付けた照明のスイッチと同じ場所に取り付けてもらいました。ちょっとよそ見してるうちに終わってて写真ありません。プロ様すごい。
換気扇の防音効果（※2021年10月追記あり）
実験
- スタジオ内部のダクトの中にBluetoothスピーカー(JBL charge2+)を置き
- ボリュームを最大にして(約90dB)
- 換気扇部分に耳を当てて確認しました
実験の結果、音が聞こえるのはドア側の開口部の方からで
換気扇からは全く聞こえませんでした。
「ドア側からの音にかき消されてる」とかではなく、全く聞こえない状態。
ちなみに90dBの目安はカラオケ店、客席中央の音量です。住宅地の木造の家で鳴らすレベルじゃない。
数値で結果を示せないので客観性が全くない感じになってますが、まー元々無責任なDIYブログですし。
スピーカーの90dB計測もiPhoneのアプリですし。
とりあえずほんとに全然聞こえず、もちろん空気は通っていました。
だから誰がなんと言おうと成功。やったー。
(2021/10/20追記：防音ドアを作った後スタジオ内でドラムを演奏しましたが、この換気装置からはやはり全く音を通していませんでした。完全勝利)
地味に良かったこと：防音室内に換気扇がない
地味ですが、このシステムだと防音室内には換気扇がありません。スタジオ内には作動音が全くなく、レコーディングに何の支障もありません。
これめっちゃいいなと思いました。
材料費
今回の材料費（大体）です
針葉樹合板 ３枚で4500円
吸音材1000円 (4000円で買った吸音材を4分の1使った)
アルミダクト1000円
シーリング材500円
換気扇4000円
フード付きガラリ500円
エアコンパテ100円
＝合計1万1600円
かなり安く上がりました。
安いのに超効果があって、作るのも結構簡単で楽しくて最高。おすすめ。
この後
次はドア枠と防音ドアを作って取り付けます。
ドアが付けばひとまず完全に箱型になるので、その段階でドラムを叩いてみて防音性能を確認します。
その動画も撮影してアップします。
追記：自作防音ドア完成しました(2021/07)
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